揺らぎ 夕食、同じ隊に所属している四人は、日中同じメニューをこなすため、自然と顔を合わせることになる。 だいたいは、イザークとアスランが口論をしながら食堂へと入り、そのままやいやいとまくしたてながらトレイを掴み、流れで同じ机につくことが多かった。 そんなイザークとアスランに、残るクルーゼ隊の二人、ニコルとディアッカも慣れたものだが、二人も決して仲が良いわけではない。 はぁと溜め息をついたのが被ると、二人顔を見合わせ、睨み合うこともしばしばあった。 大概は、ニコルの圧勝だったが。 だが、今日はどこか違った。 アスランの様子が、いつもと違う。 時折、息を詰めて立ち止まったり、急に壁に手をついたり。 平静を装っている時にも、頬を汗が伝っていた。 ニコルが何度も、医務室に行くことを勧めたが、アスランは頑として受け入れない。 ふるふると頭を振り、どこかへ行ってしまうこともあった。 イザークもそんなアスランに気付いているのか、今日一日突っ掛かることもせず。 ニコルだけでなく、ディアッカも訝しく思っていた。 イザークがアスランの様子を見る度に、何かを含んだような笑みを見せていたのを、隣で見ていたから。 明日の予定を聞いた後、揃って食堂に向かう際にもそれは変わらず、いやに静かに、四人は同席についた。 途端、ニコルの隣に座ったアスランの身体がピクリと震える。 「っ……ぅ」 微かに息を零したアスランに、ニコルとディアッカが注目したが、イザークは黙々と夕飯を食べているだけ。 アスランは俯いたままちらりとイザークを盗み見、フォークに手を伸ばした。 その手すらも、震えている。 「アスラン…?」 大丈夫ですかとニコルが声を掛け、アスランが答えようと口を開いた瞬間、カチリと何処かで音がした。 ニコルやディアッカがその音を気に留める間もなく、突然アスランの身体が戦慄き、二人は驚く。 下肢から沸き上がってくる快感に、アスランはどうすることも出来なかった。 耐え切れず、熱い吐息を零しながら自分の身体を抱き締め、じわりと涙の滲んだ瞳を、元凶であるイザークに向ける。 「っ……んッ、ゃめ…イザ…ク…ぁっ」 その顔は艶を帯びており、ディアッカは息を呑んだ。 ニコルは二人の間に何かあったのかとイザークを睨みつけるが、イザークは素知らぬ顔をしてにやと笑っている。 「何だ?アスラン」 「も…ぅ、いゃ…ぁ…」 快感を散らすように頭を振るアスランに、イザークは溜め息をついて立ち上がった。 そんなイザークの様子にすらアスランの身体は浮き、何をするのかと不安げにイザークを見る。 傍観するしかない二人にも、ようやくイザークがアスランに何をしたのかわかった。 微かに、機械音がしている。 アスランの秘部には、玩具…正確にはローターが埋められて、それはイザークのポケットに入っているスイッチで唐突に動きと速さを変えた。 前に立ち、見下ろしてくるイザークを見上げながら、アスランは声を洩らさぬように唇を噛み締める。 だが、努力は報われず、如何せんちょうど口を開いた時に強さを上げられてしまったモノの所為で声が押さえられなかった。 イザークはそんなアスランに冷たい目を向ける。 スイッチの入っているポケットに片手を入れたまま。 「誘っているのか?」 「ちが…ッひぃ、あ…っ」 突き刺さるようなイザークの言葉に違うと口にした途端、更にカチカチと音がした。 ついに耐え切れず、アスランはイザークから視線を外してしまう。 喘ぎ声が紡ぎだされる中、ニコルやディアッカ、その他にもいるクルー達の視線を感じ、アスランは羞恥に震えた。 イザークは耐えるアスランを一瞥し、その場から離れてしまう。 「ぁ……っ」 途端、この状況のまま自分を置いて行ってしまうのかとアスランは不安そうな声を洩らし、イザークを目で追った。 手を伸ばせば届く距離にいる時でさえ、自身の身体から手を離すことが出来ない。 周りから見ていれば、イザークが何処に向かったかなど、彼が歩み始めた途端にわかったのだが。 イザークは水の入ったコップを持って戻ってきた。 それを手に持ったまま、スイッチの入ったポケットとは違う方のポケットからカプセルを取り出す。 怯えたように目を見開いたアスランの、急に固く結ばれた口にカプセルを押し込めた。 アスランは入れまいと粘ったが、イザークが水を自分の口に含み、そのまま腰を屈めて口づけてきたものだからそれは叶わなかった。 周りの目も気にせずに口移しで水を飲まされ、アスランはこくりと音をたててカプセルを飲み込む。 溢れた水が顎まで伝い、軍服を濡らした。 イザークの舌は簡単にアスランの口腔内に侵入を果たし、飲み込んだ褒美だと言わんばかりに更にアスランを乱していく。 ゆっくりと掻き乱される優しいキスに安心したのか、アスランは自身を抱いていた手を解き、縋るようにイザークの軍服を掴んだ。 「んっ…ふ……」 合間に聞こえるアスランの声は甘い。 イザークは質の良い軍服に皺を作っているアスランの手を軽く掴んで払い、ぁっと声を洩らしたアスランから身体を離した。 濡れて光る唇が微かに動き、イザークと声がする。 それすらも無視し、イザークはまたもポケットへ手を入れ、未だアスランの秘部に埋まったままの玩具の強さを最小にまで下げた。 最大に近かったものを突然下げられ、アスランの身体は物足りなそうにひくりと動く。 次いで、飲まされた媚薬が回り始め、更に身体が疼いた。 最早呆然として二人を見つめるしか出来ないニコルとディアッカ。 そう言えばいたのか、という程度の視線を二人に送り、イザークはアスランに笑い掛けた。 「もう食えないなら、部屋に戻るか?」 意地の悪い問いにこくこくと首を振り、アスランは必死に言葉を紡ぐ。 緩い快感に、敏感な身体は浅ましく、声は上手く言葉にならなかったが。 「っあ…ん、もど…りた……ぁあッ」 「なら、ちゃんと連いてくるんだな」 「そ、んな…ひゃ…っん、んくっ」 周りが気になり、アスランはこの場から早く逃げ出したかったのだが、イザークは手を貸してくれない。 そればかりか、アスランに見向きもせずに歩みを進め始めていた。 慌ててアスランも立ち上がったのだが、中のモノがそれに合わせて位置を変え、すぐに床に膝をついてしまう。 「ア、アスラン!」 そのアスランの様子にふと我に返り、ニコルは急いでアスランに近寄った。 そのニコルの手がアスランに触れかけた時、それに合わせるようにイザークから非情な言葉が投げられる。 「一人で来いよ?アスラン」 もう十六なんだから出来るだろ?そう言い残し、食堂から出て行ってしまったイザークに追い付こうと、アスランは必死に立ち上がった。 その瞳には壁の向こうに行ってしまったイザークしか映しておらず、ニコルはばっと手を引く。 ニコルもディアッカも、今アスランに手を貸しては、アスランが余計に酷い目に合うのだと察知し、居たたまれなくなった。 「ぁ、イザ…まっ…」 ああ言う時の"部屋"は自分の部屋だろうと、回らない頭で考える。 震える膝に叱咤しながら、アスランが部屋に着いたのはかなり時間が経ってからだ。 イザークは当然のようにアスランの部屋で待っていた。 アスランは震える手でロックを解除し、電気が消され、奥の方の様子が見えない部屋の中へ入る。 そんなことはもうどうでもよく、今はこの疼きをどうにかしたかった。 一歩踏み入れ、扉が閉まった途端、影にいたイザークに腕を掴まれ、扉に思い切り押しつけられる。 バンッと凄まじい音がし、アスランの背に激痛が走った。 だが、それすらも快感に変わる。 イザークはそんなアスランに樮笑み、片手をアスランの顔の横につき、もう片方はパネルへと伸ばしてロックを掛けた。 アスランの怯えた表情すら、イザークを煽るものとなる。 「イザーク……っ、これ、のけてぇ…ッ」 伝う涙を舌で舐めとり、イザークはアスランの両足の間に膝を割り入れた。 アスランが"これ"と言ったものの正体はわかっているが、除けてやる気などさらさらない。 赤く色付いた身体が軍服に包まれて見ることが出来ないのが残念だと、イザークは思った。 「イきたいか?」 「ん……ぁ」 柔らかな耳を唇で愛撫しながら息を吹き込むように問い掛ければ、びくりとアスランの身体が震える。 両手はイザークの軍服をぎゅっと掴み、瞳は期待するようにイザークを捕らえた。 「淫乱が」 アスランの耳元で低く囁くと同時に、割り入れていた膝で、思い切りアスラン自身を擦り上げる。 激しいそれに、アスランは呆気なく達し、イザークは笑った。 「ぁ、あぁああ――…!!」 びくびくと痙攣する下肢を見やり、イザークは更に口端を吊り上げる。 嫌々とするように頭を振り、その柔らかい髪を散らしながら、アスランは立っているのが辛く感じた。 達したばかりで力が入らない。 だが、イザークは急にアスランの手を掴み、引いて歩き始めた。 無理矢理に動かされ、中のモノが繊細な粘膜を掻き乱す。 「あっ、あ、あ、やめ、イザ…ッ」 そのままぽいとベッドに投げられて、アスランはベッドの中程に尻をつく形に倒れ込んだ。 スプリングで身体が跳ねる中、懸命に両手をついて上半身を支え、イザークを見る。 闇に浮かぶ濡れた翡翠は美しく、イザークはゆっくりと近づいてベッドに乗り入れ、震えるアスランの顎を掴んだ。 吐息が触れる程近くで、イザークの瞳に射竦められ、アスランは動くことが出来ない。 そちらにばかり気を取られていると、突然中のモノが動きを強めた。 「あぁ…っ、ぅああ…!」 顎を掴まれている為に顔を背けることが出来ず、アスランは喘ぎ声を洩らしながら、居たたまれなくなり目を瞑る。 悦に浸るアスランの表情を近くで見つめながら、イザークは手をアスラン自身に伸ばした。 先程達したことにより、初めてらしい染みの出来たそこを、軽く揉み扱くと、媚薬によって敏感になっているらしいそこは更に固さを増す。 鼻に掛かったようなアスランの声は、甘さを増してイザークの鼓膜を震わせた。 「ずっとトイレでヌいていたのか?」 「あ、はぁ…ん……ッん ひぁあっ」 そのイザークの言葉に、窮屈そうにこくこくと首を振ったアスランの顎を離し、イザークはアスランの詰め襟を外す。 垣間見える白い肌に手を伸ばすと、イザークの冷たい手にアスランの目蓋が開かれた。 長い睫毛が跳ね上がる様を笑い、絶え間なく息を吐き出す唇に己のそれを重ね合わせる。 そして、イザークはアスランに更に非情な言葉を放った。 「上を脱げ」 「え……?ひ、ぃあああっ!!」 突然のイザークの言葉に戸惑ったアスランに追い打ちをかけるようにアスラン自身を握り込む。 痛いと頭を振りながら涙を零すアスランに、罪悪感など感じず、イザークに芽生えるのは加虐心のみ。 そのまま早くと囁けば、アスランはカタカタと震えながら服を脱いでいく。 真っ赤な上着がぱさりと音をたてて落ちる頃には、握り込まれていたそれを優しく扱かれて、アンダーを脱ぐのにかなり梃摺ってしまった。 その間にブーツも脱がされ、冷たい空気がアスランの身体を嬲っていく。 「アスラン…」 籠もった音をたてる玩具はすでに快感を生み出さず、物足りなさにアスランは淫らに腰をベッドに擦り付けていた。 そんなアスランに笑い掛け、イザークは首に舌を這わせる。 「ひっ…イザ…ク……はっ…ぁ…」 詰め襟をすれば見えない位置に鬱血の跡を残し、イザークはだんだんと下っていった。 すでに硬くなっている胸の飾りを舌先で愛撫し悪戯に噛むと、アスランの身体は更に揺れる。 上半身を起こしたままの態勢で、辛そうなアスランだったが、片手はベッドについたまま、もう片方の手をイザークの髪に伸ばし、軽く引っ張った。 軽く水音をたててイザークの頭が胸元から離され、どうしたと聞いてくる。 あまりにも白々しい様に、アスランは泣きたくなった。 「した…触って…」 恥も何もかなぐりすて、アスランはイザークに懇願した。 だが、イザークが聞き入れることはなく。 アスランのズボンのベルトにイザークの手がかけられたのは、アスランがとうとう泣きじゃくり始めた時だった。 可哀相な程に反り起ったアスラン自身からは、粘性を失った白濁が滲み、淫靡な眺めを作り出している。 こんなにも長い性交は初めてで、アスランの意識は早くも飛びかけていた。 それを察したように、イザークはアスランの秘部に手を伸ばしながらアスランの身体を横たえる。 指先で未だ動き続けるローターに触れ、更に奥に押し込めた。 「なっ、に…!?」 「もう、こんなものでは感じないか?」 意地悪い笑みを浮かべながら、前立腺に当たるようにローターを動かせば、アスランは腰を捩りながら胸を反らせる。 まだいけたかと呟いたイザークの声がアスランに届くことはなかった。 微妙なアスランの反応に興味を失ったのか、イザークはローターを止めてリモコンを投げる。 微かな快感すらも与えられなくなり、ずるりと中のモノを引きずり出され、秘部は喪失感に戦慄いた。 ぐっしょりと濡れた下肢をイザークの双眸で視姦され、アスランの息は更に軽薄になる。 眠気など吹き飛び、早くこの疼きをどうにかして欲しかった。 揺れの止まらない腰肢がイザークの目に止まる度、アスランの身体が震え、イきたくともイけない感覚は苦しく、アスランの涙は止まらない。 だからと言って、イザークがどうしてくれるかとも、思わなかったが。 「あぁ、玩具を入れたまま俺のをやってもよかったか?」 「そ、んな……むり、だ…っ」 すでに解れきっている蕾の入り口にしなやかな指が触れた。 ひくりと誘う秘部に、イザークは笑うだけ。 「イザ…ぁ…ゃッ いゃぁあ…っ」 嫌、とだけ言うアスランが嬌声を絶やすことはなく、イザークを更に楽しませた。 入り口の周りをつ、と指でなぞり、動き易いように膝裏に手を添えて持ち上る。 肩に担ぎ上げて身体を密着させると、イザークの軍服が白濁で濡れた。 「イザ…っ、ど、して…こんなこと……ッ」 訳が分からぬまま、朝玩具を押し込まれ、今も尚、こんなにも酷い目にあわされている意味。 至極楽しそうなイザークと裏腹に、アスランは不安が募るばかりだ。 今まで、何度も性交によって酷いことをされてきたが、いずれも、理由はわからなかった。 それでもアスランは… 「どうして?決まっているだろう。貴様が嫌いだからさ」 だから、嫌がっているのをねじ伏せるのは、愉しい。 ひどく衝撃を受けた顔をし、痛々しくイザークを見上げるアスランに笑い掛け、何時の間に前を寛げていたのか、イザークはアスランの秘部に自身を突き立てた。 ぐちゅうと卑猥な音をたて、遠慮もせずに挿れられるイザークを拒むことを出来ずに、アスランはただ受け入れる。 イザークが放った言葉が思考を奪い、何も考えられなった。 しなる背に、痛みを感じていないと感じ取り、イザークは最奥まで自身を押し込む。 優しく包むようにまとわりついてくる内壁に、イザークの背にぞくりと何かが走った。 鳴き続けたアスランの、少し擦れた声は、更にイザークを掻き立てる。 無性に、汚したかった。アスランを。 「ひあぁあッ、あ…んぁっ、ぁああ…!」 アスランの限界は近く、イザークが動き始めた直後に、身体をびくびくと揺らしながら果てた。 締め付けてくる内壁を振り払い、強かに腰を打ち付ける。 もう片方の足も担ぎ上げ、イザークは自分の身体も倒した。 途端、水音が響く。 「ぅああ…ッ」 「はっ、まるで人形だな」 呟いたイザークに、伝うアスランの涙。 直後、イザークはアスランの中に白濁を吐き出した。 熱い粘液が注がれていく感覚にすら快感を見付け、アスランは身を震わせる。 当然、それだけで終わる訳もなく。 イザークの軍服を握り締め、アスランは喘ぎ続けた。 「ぁ…ッ」 「まだ気絶していないか…慣れたものだな」 何度も濡らされた秘部からは溢れたイザークの白濁が。 イザークは早々と乱れた着衣を整え、ベッドから下りた。 赤いそれについた白いものを見つけ、指で拭う。 「後で洗わないとな…」 アスランはだらしなく開かれた両足を閉じることも出来ずに、虚ろな目でイザークを見つめていた。 そのアスランの視線に気付いたかのようにイザークはそちらを向き、また笑う。 END |
後書き 裏ものが書けなくなっていました… これはリハビリに近いですね(汗) まだ書きたいイザアス裏ものがあるので、頑張りますっ 一人鬼畜祭り状態ですね…笑 間に挟まれた『一つの傘に入ろう』が苦しそうです。 まな 05.10.16 |