不器用な会話


またストライクと…キラとのMS戦闘の後、アスランはいきり立つイザークを無言で流し、手早くパイロットスーツから軍服に着替え、苛立たしげに待機室を後にした。

仲の良かった。お互いを一番に理解し合っていた、大事な友達。
幼なじみ。

苛立たずに、不快感を覚えずにいられるわけもなく。
元々精神的に強いわけではないアスランの心は、常に重く、暗雲立ちこめていた。
ドロリとした何かが、心を犯していく。
苦しくて仕方がないそれは、表だって身体にも表れた。
常に身体が怠く、食事もあまり喉を通らない。うだる自分の身体に鞭打ち、やっとの思いでアスランは士官室の前に来た。
押し慣れたロックナンバーを指先で辿り、やっと扉の開いた部屋の中へと身体を滑り込ませる。
士官室に入ると同時にアスランの身体は緊張を解き、どぉっとベッドに倒れ込んだ。
四肢を投げ出し、圧迫感のある詰め襟を外し、枕に顔を埋めてアスランは、震えながら恐る恐る息を吐く。
そして、鍵を掛けることのなかった扉が、また開くのを待った。

わざと、ロックを掛けなかった。

そんな自分すらも嫌になり、アスランは枕を濡らす。
声を押し殺し、枕にぎゅっと目元を押しつけて。
すると、部屋の前で微かに声がした。
イザークはディアッカに合わせてゆっくりと着替え、いろいろと愚痴を言い合いながらアスランのいる士官室の前まで来ていた。

「ディアッカ、貴様は先に帰ってろ」

とん、とディアッカの肩を押し、イザークは言いながら士官室の前で器用に止まる。
ディアッカは無重力に身体を委ね、ゆっくりとイザークから離れていく。
ふっと近くの手摺りを掴んでそれを止め、呆れたように言った。

「またかぁ?お前もしつこいねぇ」

大方、またアスランに勝負を挑むのだろうと思っているディアッカのその言葉に、イザークは眉をしかめる。
もちろんそんなつもりは、イザークには全く、微塵もない。
その反応をどう取ったのか、ディアッカは口元に笑みを浮かべた。

「しつこい男は嫌われるってゆーし。どうなんだかなぁ?じゃっ」

「余計なお世話だ!」

言い残して床を蹴ったディアッカにいつもの調子で怒鳴り返し、イザークははぁと疲れたような溜め息をついてパネルに手を掛ける。
だが、扉はイザークを察知して開き、アスランがロックを掛けずに部屋にいることを知った。
その意味を考えて、イザークは嬉しさを含む笑みを見せ、するりと部屋の中に入った。
暗い部屋に、一筋の人工的な光が差し込み、また失われていく。
ベッドに蹲っていた筈のアスランは、イザークが来たのだと分かると共に身体を起こし、気遣わしげに自分の名前を呼んだイザークに抱きついた。
突然のそれにイザークは驚いたが、肩口に顔を埋めるアスランを愛おしげに見、柔らかい髪を撫で上げる。
擽ったそうに、それでもどこか、縋るようにアスランは顔を上げた。
濡れて赤くなった目尻に、合わせて赤い頬に手をやると、甘えるように目を閉じる。
イザークと呟くそのアスランの唇に、イザークは己のそれを合わせた。
自然と交わされた口づけ。
触れるだけで、ゆっくりと離された口吻に、名残を惜しむようにアスランは僅かに息を吐く。
背中に回していた手をイザークのそれに絡め、アスランはイザークを誘った。

卑怯だと、思ってはいたが、忘れてしまいたかった。
全てを。
キラのことも。

そんなアスランの様子に、イザークが気付かないわけもなく、手を解いてその痩身を抱き締めた。
離さないと、一緒にここにいるんだと言うように。
力強く。
その力の籠もった感覚に安堵の息を洩らし、アスランはイザークの背にまたも両手を回して縋る。
ギュッとその軍服を握り締め、イザークの肩に頭を預けた。

「イザーク…」

アスランの小さな声が、イザークの耳朶を擽る。
甘く響くそれ。
だが、反してイザークの胸には、遣り切れない想いが流れ込んでくる。
こんなことしか出来ない自分。
ストライクと戦闘を行なうたびに、目に見えて明らかに沈んでいくアスランに気付いていながらも、その理由を聞く程の勇気は、ない。
アスランは自分を掻き抱くだけで何も言わず、何もしないイザークの、その確かな鼓動と体温を感じながら言った。

「ありがとう…。皆の前で辛く当たってくれて‥」

「…………」

「だから俺は、自分を保っていられる」

二人きりの時にはアスランに優しく接するイザークが、周囲に人がいれば一転してしつこい程にアスランに突っ掛かる理由。
アスランの負けん気を湧き立たせ、その身が崩れてしまわないように。
イザークの不器用な行動が、お互いの胸を痛い程に抉るがそれでも、二人は構わなかった。

崩れてしまわなければいい。
その身体も。
心も。
全て。
崩れてしまわなければそれでいい。

「何を今更…」

「ッあ…!」

もう言うんじゃないと暗喩に言い、イザークはアスランの耳朶を軽く噛んだ。
途端、アスランは声を上げ、形の良いそれが真っ赤に染まる。
抱き締めたまま、ゆっくりと舌で形をなぞり、その反応を楽しんだ。
生温かいものが通り、濡れたそこは外気に曝され冷えていく。
切り揃えられた銀髪が首元を擽る感覚にすら身を震わせ、アスランは恥ずかしそうに顔を上げた。
それによって態勢がキツくなったのか、イザークはそこから顔を離す。
つぃっとアスランの背中に回していた手を腰元まで滑らせ、逃げられないように強く引き寄せた。
下肢が触れ合い、アスランは嫌々と首を振る。
だが、イザークの瞳にじっと射竦められ、されるがままに唇を合わせた。
音を立てながら付いては離れるそれに、焦れたように唇を薄く開けたアスランに笑い、イザークはその誘いを受ける。
舌を差し入れ、深く、じっとりと中を乱す。
アスランの口端から飲みきれなかったものが伝うまで、それは続いた。

「イザ…ク…」

「もう息切れか?」

何時の間にかイザークの背中から胸元に手の位置を変え、翡翠の双眸に涙を浮かべて軽薄な息を繰り返すアスランに、イザークは口角を上げて笑う。
アスランはそんなイザークをキッと睨み付けた。
眉を潜めているが、赤く色づく頬の所為でそれも迫力はない。

「そんな、わけ…!」

「ないわけないだろう?」

「ん…あ…ッ!」

強情に否定しようとしたアスランの、震える下肢をイザークは更に引き寄せた。
明らかに形を変えた互いのものが布越しに触れ、アスランは羞恥に顔を逸らせる。
確かに感じていることを示すそれ。
恥ずかしさと快感が一気にアスランに押し寄せる。
そんなアスランの大腿部を、イザークは腰を抱き寄せていない方の手で擦る。
際どい箇所を撫でられて、アスランの唇から上ずった声が洩れた。
嫌だとも、やめろとも言わずただ受け入れるアスランに苛立ちさえ感じ、イザークはアスランを背後のベッドへと押した。
呆気なく膝が崩れ、アスランはベッドに勢い良く乗り上げる。
大して柔らかくもないベッドの上で、少しの間アスランの身体が揺れた。
スプリングがギシリと悲鳴を上げる。

「っ……イザ…」

縋るように見上げてくるアスランに不適な笑みを浮かべ、イザークはアスランの身体を押し倒した。
両手を絡め、濡れた唇を奪う。

忘れさせてやるよ。
そう、望むのならば。
たとえ……

声にならない心の声。
イザークがそれを言うことは出来ず、言えばアスランが涙を流すのはわかっていた。
アスランの心をイザークは知らず、逆もまた然り。
イザークの纏う雰囲気が変わったのがわかったのか、アスランは離れたその端正な顔をじっと覗き込む。

いつもこんなことをさせてごめん。
でも、それは決して言わない。
それはお前への侮辱だから。
たとえ……

互いに想うことは違えど、二人は視線を絡めて見つめ合う。
愛しているのは君だけだと、互いの瞳が雄弁に物語るだけで、満足だった。

「イザーク…こい…」

早く、と呟くそれをまた奪い、イザークはアスランのベルトを外す。
前を左右に開き、表れたアンダーを脱がせるのは面倒なのでそのままたくし上げる。

「ッ……ん…」

相変わらずの白い肌、そこに散らばるのはイザークがつけた独占欲の証。
すでにしこった、白い肌には一際目立つ胸の飾りを見つけられ、アスランは微かに吐息を洩らす。
イザークの指がその頂に触れた。

「あ……ッ!」

「相変わらず、いい感度だな…」

かするだけのそれにすら背を反らせるアスランに笑うと、アスランは真っ赤になって違うと首を振る。
違わないだろうとイザークが耳朶に直接吹き込めば、あ、と声を洩らしておとなしくなった。
胸を弄るのは程々に、イザークは下肢へと手を伸ばす。
片手では羞恥に震えるその頬を優しく撫でながら、片手で器用にズボンのベルトを外していく。
ジジッとジッパーが下ろされる音が、執拗にアスランの羞恥心を誘った。
途端引き下ろされたズボンと下着に、それすらも吹き飛び、驚きに変わってしまったが。

「うそ…ッ」

白い肌に、更に赤みが帯びていく。
戸惑いもせずにイザークはアスラン自身に触れた。
すでに緩く立ち上がり、白濁を絡ませているそれに、イザークはまた口角を上げる。
蜜を絡ませるように手を動かせば、くちゅくちゅと濡れた音が響き、更にイザークの指をしっとりと濡らした。
アスランの唇から洩れるのは、甘い矯声。
軽く扱きながら、イザークはアスランの片足を肩に担ぎ上げた。
慎ましく閉じられた蕾を暴かれ、アスランはぎゅっと目を瞑る。
蕾は、白濁に濡れていた。

「ひぁ……ッ」

「濡れているな…」

しなやかな指先が秘部に触れ、細やかに音をたてながら濡れた入り口の周りをなぞっていく。
中に侵入をきたすわけでもなく、ゆっくりと行なわれるそれに、アスランはびくびくと身体を揺らした。
蕾は、僅かな刺激を受け続けひくりと強縮し、イザークの指を引き込もうとする。
淫猥な身体。
イザークが開拓した身体は、快感に忠実だ。
アカデミーの頃からずっと一緒にいた、愛しい人。
告白することもなく、自然と互いに愛を語り始めた。
周囲には、隠し通してきた。
同性愛だと、もしもバレてしまったなら、二人とも…

つぷりと、ひくつくそこに指先を挿し入れた。
苦しげに喘ぐ唇を塞ぎ、イザークはそのまま指を奥へと押し込んでいく。
火傷してしまいそうな程に熱い内壁は、反して指を押し出そうとする。
どれほど抱いても、アスランの身体のこの反応は変わらない。
だが、深い口づけにアスランがうっとりとしたような表情を見せた時、秘肉は半ば程まで差し込まれたイザークの指に絡み付くように強縮した。
奥に引き込もうと動き始めたそれに笑い、イザークは唇を離す。
不満そうな声を洩らしたアスランのその内壁を、悪戯に爪で引っ掻いた。

「ひゃぁあ…!!」

背を反らせて悲鳴をあげ、アスランは自身からとろりと白濁を伝わせる。
イザークが自身に加えていた愛撫は何時の間にか止められており、その手は担ぎ上げられていないアスランの片足へ。
そちらさえも持ち上げられ、震えるアスラン自身と指を含んだ蕾が更によく見えるようになる。
くちくちとしなやかな指を動かしながら、イザークはまたそれを増やした。
二本の指は、柔らかな粘膜を広げながら、アスランの理性を犯していく。

「ん、ぁ…ッ あぁッ、ひぁあ…!」

イザークは、自分の軍服を皺が出来る程に掴み善がるアスランのその感じきった顔を間近で眺め、悦に入ったような笑みを浮かべた。
誰にも見せるものか、この痴態を。
戦慄く首元に顔を埋め、詰め襟をすれば見えない位置に所有の印を残す。
キツく吸い付けば、アスランはん、と喉を鳴らした。
また新たな華が散る。

「一度…イっておくか?」

指をくっと中で曲げながら、イザークはアスラン自身に目線を落とした。
自分のものだけで濡れきった下肢を見つめられ、アスランは嬌声をあげながら恥ずかしげにぎゅっと目を瞑る。
濡れた翡翠を隠され、イザークは不満の声を洩らした。

「アスラン…俺を見ろ」

耳朶に直接吹き込まれ、アスランはまたびくりと身体を揺らす。
イザークの氷晶の瞳を見上げるようになるまで、そう時間は掛からなかった。

「あ…ッ イ、ザーク…イきた…ぃ」

ようやく強請り始めたアスランの自身を、イザークはふっと頬にキスを落としてまた扱く。
強弱をつけ上下に動かすだけで、アスランは呆気なく陥落した。
張り詰めていた自身が一度、ぐっと大きくなり、枷を外したように粘液を吐き出す。
熱い吐息を零しながらぽろぽろと零れた涙を、イザークの舌が掬う。
優しいその仕草に、一気に身体の力が抜けたのを感じた。
だが解れた媚肉は、まだ足りないと強縮を繰り返す。
それは、イザークが指を三本に増やしても変わらなかった。
それよりも質量の大きいモノを求めて。

「あぁ…!イザ…ッ、も…ぁああッ!」

腰を拙く揺らしながら誘う姿は妖媚で、イザークは誘われるがままに指を引き抜いた。
名残惜しそうな声が聞こえ、喪失感に秘部は戦慄く。
赤く熟れた内壁が垣間見え、興奮が更に高まっていくのを感じた。
早く、挿し込めてしまいたい、自身を。

「挿れるぞ…」

硬くなったイザーク自身の切っ先が、割り込むように秘部に押しあてられた。
次にくるであろう衝撃に、アスランは思わず息を呑む。
ぐちゅぅ…と卑猥な音が響き、イザークは挿入を始めた。
いつ感じても慣れないそれは苦しく、強張る身体の力を抜くことは出来ない。
耐えられずイザークが、張り詰めた息を洩らした。
自分しか見られないこの表情。

「ッ……アスラン…」

「いた…ぃッ、ひ……ッく…っ」

戒めの楔は、忘れさせてくれる。全てを。
そして確かに教えてくれる。苦しみを。

詰まる蕾の締め付けを振り払い、イザークはゆるゆると自身を奥へと進めた。
熱いそれが入ってくる感覚に、アスランは弱々しく息を吐く。
イザーク自身の全長が納まった頃には、拒んでいた内壁は寄り添うようにぴたりと自身に張りついた。
担ぎ上げた両脚を、胸に付くほどに押し曲げ、腰を高くさせると、アスランはあ、と洩らして顔を背ける。
イザークとの結合部が、しっかりと見て取れた。あまりにも淫猥なそれを、凝視することなど出来ない。
だが、イザークは許さなかった。くぃっとアスランの顎を掴みこちらを向かせ、俺を見ろと言っただろうと投げ掛ける。
いつもよりも幾分か低めのその声にすら反応を示し、アスランは恐る恐る視線を戻した。
それを見計らったかのように、イザークは身体を倒す。
蜜壷に掛かる圧迫感が増し、アスランは苦しげに眉間に皺を刻んだが、その代わり結合部は見えなくなり、のしかかる圧迫感に震える唇を合わされた。
互いに眼を開けたままでの口づけ。
アスランは切なげに眉を寄せていながらも、嬉しそうに瞳を弛ませる。
その双眸に、吸い込まれてしまいそうな感覚に襲われ、イザークはそれを振り払うように腰を動かした。

「んッ……ふぅ、あ…ぁあ!」

口端からはしたなく唾液を伝わせ、アスランは濡れた唇から甘い悲鳴をあげる。

何もかも、忘れてしまえ。

媚肉を掻き分けて、イザークの自身はアスランの前立腺を狙う。
隠されたしこりを暴かれ、腰を捩ってアスランはそれに耐えた。
一度達した筈のアスラン自身は、イザークの軍服に擦られすでに張り詰めている。
執拗に攻め立てられ、アスランはもう限界だった。

「ああッ!イザ、も…!イく…イっちゃッ、あぁあっ」

「ッ……イけ」

ぐちゅぐちゅと勢い良く抽出し、イザークはアスラン自身の先端に手を掛ける。
指の腹でぐりぐりと弄り、蜜を溢れさせる亀裂に爪を食い込ませた。

「あ、あ、ぁあっ、んぁあ――ッ!!」

びくびくと身体を震わせ、背を反らせてアスランは達する。
イザークの首に絡められた両腕に更に力が籠もった。
それに合わせ、きゅぅっと詰まる蜜壷の締め付けに耐え、イザークは余韻に浸る間も与えずに秘肉を嬲り続ける。
淫らな音が響くが、それもイザークが絶頂を迎えることで終演となった。
熱い粘液が、本来ならば性交に使われることのない秘部に注がれていく。
それを感じながら、アスランの意識は堕ちていった。
些か激しすぎる性交に、戦闘で疲れきっていた身体は耐えられなかったらしい。
それだけの理由では、ないのだろうが。

イザークは涙の跡の残る頬を優しい手つきで撫で、中から自身を抜き出した。
無意識にアスランの身体が震え、とろりと蕾から白濁が漏れる。
自分が放ったそれに眉を潜め、イザークは簡単にアスランの身体を清めた。

何を溜め込んでいるのだろうか、この華奢な身体に。

どうしようもない想いを溜め込み、イザークはアスランにシーツを掛け部屋を後にする。
朝まで一緒にと言うわけには、いかなかった。ディアッカが訝しがるから。

残された部屋でアスランが、目を覚ましたことに気付いていながら…




END




後書き


突発的に、書きたくなりました…。
ただ裏が書きたかっただけとも…げほごほ

この頃何故か小説が長くなります。
どうしたものか…。
え、あ、こんな後書きですみませんっ
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


まな
05.11.06〜05.11.07