戒めの楔 ぐっ、と内壁を無理矢理押し広げ、熱い楔が打ち込まれる。 身体を支えていた筈の両腕はかくんと崩れ落ちて縋り付くようにシーツを握った。 額をベッドに押しつけて何度繰り返しても慣れない衝撃に声を上げ、華奢な背中はふるふると小刻みに震える。 その白い肌に吸い付くように身体を倒せば、更に卑猥な水音が下肢から響く。 覆い被さるように身体を重ねながら、背中から舌を這わせて首筋まで辿り着いた。 温かいねっとりとしたものが肌の上を滑る。 苦しげな息を零す唇は、それにすら感じて声を洩らした。 震える擦れた声で、存在だけを主張する楔に嫌々と首を振る。 動いて… 一言呟くだけでは、下肢を襲う快感は強まることはなかった。 すっと身体を上げれば、胸に感じていた温かさがすぅ…と消えていく。 それがなくとも互いの肢体はこれ以上ない程熱かったが。 細い腰を両手で掴み緩く腰を動かせば、くちくちと些細な音がする。 激しい突き上げではない筈のそれは、最奥のしこりを確実に刺激していた。 焦らされるように、それでも確かに快感は作り出されていく。 だが、やはりそれでは足りなかった。 再度懇願の言葉を紡ぐ。 今度は、細やかながら腰を振り誘いながら。 その途端、伸ばされたしなやかな指が自身に絡む。 微弱な快感にもしっかりと反応を示し、シーツへと蜜を零していたそれに触れれば、びくりと華奢な背がしなった。 「あ、ぁ…!!」 そっと握り込みながら、人差し指の指先を、先端にゆっくりと輪を書くように動かしていく。 甘い声はひっきりなしに零れ落ち、熱い粘膜は楔をきゅっと包み込みながら締め付ける。 その感覚に感じたらしいそれが、ぐぐっとその質量を増した。 はぁ…と熱っぽい息を吐き出す中、組み敷かれ焦らされ続けた唇からは嬌声が放たれる。 粘膜を押し広げられる感覚に、片手では掴んだままの腰元が戦慄いた。 もう限界だと感じ、引きちぎられた理性の欠片も振り払い、下腹部に力を籠めて秘部を絞り上げ、更に強請る。 ようやくと言ったように、それでも突然に激しく腰を打ち付けられて、たまらなさそうに身体は震える。 掴んだ腰をも動かして、先走りを垂らす自身を上下に扱き上げた。 「や、ぁああッ ひぁ、は、あぁ…!!!」 張り詰めていた自身は、ふるふると震えて限界を訴える。 達する時に心地よく絞まる蕾を知っている手の親指は、ぐりぐりと先端の亀裂を圧迫して促した。 然程抵抗もなく、瞳から涙を零しながら自身ははぜた。 熱い白濁がシーツを汚し、突き上げに合わせて尚も断片的に蜜を吐き出す。 余韻に浸る間もなく与えられる快感に、喘ぎ声は甘く耳朶を蝕んでいった。 再度身体を重ね合わせられながら限界へと導いた手が自身から離れ、名残惜しげな声が漏れる。 達する際にやはり心地よく絞まった内壁に楔は更に質量を増し、ぐちゅぐちゅと淫媚な音を立てて粘膜を擦り上げた。 黙々と腰を打ち付ける唇が落とすのは、項に紅く残る所有の証だけ。 どこか虚しくも感じ、嬌声の合間に強請る声が聞こえた。 「んぁ、あッ…イザ…イザ、ク…おねが、ぁああ…っ!」 「………どうした?」 しこりの周りを焦らすように刺激していれば、聞こえた強請る声。 乱れた髪から覗く耳元で低く問い返されれば、ひくりと秘部が戦慄くのを感じた。 それを見越したように、今度はしこりばかりを攻め立てる。 強過ぎる快感は意識を呑み込んでいくが、違うと言うように頭を振った。 腰を掴んでいた掌で、シーツを握り締める手を握り込まれれば、安堵するような吐息が漏れる。 触れ合った背中と胸元はしっとりと馴染み、熱を確認し合う。 先程言葉を放った唇は、荒っぽい息を放ちながら突き上げることはやめない。 その息を耳朶に受けながら、懸命に顔をそちらに向けようと苦しげに首を捻った。 涙の筋が残り、未だ乾き切らない柔らかな頬に口付ければ、悩ましげに顰められた眉がふっと一瞬緩みを帯びる。 上気した頬が一層赤みを増して、赤い唇が戦慄いた。 「いっ、て…あっ!!ぅあ…っ」 途端に、抉るように抜き差しを繰り返され、虚ろに開いていた瞳がぎゅっと瞑られる。 そんな様を見下ろしていた双眸がふっと緩み、甘い言葉が耳を打った。 愛している… 囁けば、蕾は騒つき楔をしっかりと呑み込もうとし、その粘膜を払うように抽出は激しさを増す。 ぐぷっと酷い音が漏れ、最後とばかりにぐっと腰を引いて一気に挿入する。 ぎりぎりまで引き抜かれたことで閉じた内壁を掻き分けられ、奥の奥まで入り込む楔にびくびくと身体を震わせる。 触れられていない筈の自身から再度熱を吐き出せば、絞まった内壁にくっと息を詰めた声が聞こえた。 直後、中に吐き出された粘性の熱い白濁に、唇から熱い吐息が零れ落ちる。 「ひ、ぁ…ぁ…ッ」 互いに達し、強張った身体から一気に力が抜ける。 荒い呼吸のまましばらく身体を重ね、甘すぎる余韻に浸った。 少しばかり熱が冷めてきた頃、ずる…と這うようにして楔は中から抜き出される。 それにすらはぁ…と熱っぽい息を零して、華奢な背中は揺れた。 すっと身体を起こして、汗で張りついた髪を片手で掻き上げる。 「大丈夫か?」 ぐったりとベッドに沈み込んだ瞳が押し上げられ、横目で見上げた。 腰のみを上げた格好のまま、秘部から先程放たれた白濁を垂らしながらの気怠げな視線に、強請られているように感じてしまう。 唇が未だ零す荒い息は整う素振りを見せず、身体を動かすことも出来ずに再度目を伏せた。 顰められたままの眉にくつくつと楽しげに喉で笑い、白濁にまみれた蕾を指先でゆっくりとなぞる。 身体は再度戦慄き、制止の声が切れ切れに唇の上を滑っていく。 「も、無理だ…ぁ、や…っ」 微かに身じろぎするものの、ぐちゅっと水音を響かせてしなやかな指が二本、入り込んできた。 質量のある楔を銜え込んでいたそこはヒクつき、足りないと訴える。 だが、唇から落ちるのは強がる言葉ばかりで、意地悪げな笑みを浮かべて耳朶を食んでやった。 そのまま耳元で、残酷な言葉を紡いでいく。 「何故俺が貴様を抱くか…わかっているんだろうな?」 「いゃぁっ、ぁあ…ッ」 秘部の中を占める白濁を掻き出すように指を動かしながら、時折かりかりと内壁を爪で掻く。 ぱさぱさと髪を散らしながらきゅっと指を締め付ける蕾に、せせら笑う声が聞こえた。 戒めている。 戒められている。 愛している。 それは嘘。 所詮、ただの玩具。 「ひぁあ…ッ!!」 抱く時は、いつも後ろから。 挿入の衝撃に震えた背に与えられた口付けにぴくりと肩を揺らす。 ぐちゅぐちゅと緩く突き上げながら、両腕で華奢な肢体を抱き締めて身体を起こさせれば、更に深い場所まで楔は侵入を果たした。 縋り付いていたシーツから手を離し、宙に浮いたそれは下からの突き上げに強張り不自然に漂う。 身体を抱き締めていた手で形のよい脚を辿り、膝裏に合わせてぐっと左右に開かせた。 快感に酔い痴れた声は惜し気もなく唇から零れ、瞳からはつぅ…と涙が伝うのをやめない。 それでも、愛しているから。 END |
後書き 最初から最後までヤっててごめんなさい!!(土下座) 久しく小説を書いていませんでしたので、文章が書きたくて書きたくて… とどのつまりは、裏が書きたかったということです。 タイトル候補を眺めておりましたら、ふっと書きたくなりまして…(苦笑) 昨日今日で書き上げましたので、誤字脱字変換ミス等あるかもしれませんが、拍手等で教えて下さると助かります…(こらこら) …一ヵ月ぶりの更新という遅さをお許し下さい…(礼) まな 06.03.15 |