小ネタ集
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21〜25 26〜
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21.こいつは、綺麗に笑う事を知っている奴のはずだった。
└種イザアス
22.年に幾度かしか会えない俺達の、いつも繰り返す日常
└甘々イザアス
23.年に幾度かしか会えない俺達の、いつも繰り返す日常 Adult ver.
└甘々イザアス/微裏
24.いつか訪れる終わりを、恐ろしいとは思わないか
└甘々?イザアス
25.赤で青を祝う
└イザアス/アスラン誕生日
こいつは、綺麗に笑う事を知っている奴のはずだった。
ストライクは討ったさ、と、ぶっきらぼうに告げられた言葉が脳内に蘇る。
赤く夕日に照らされた病室の中、目の前のベッドに横たわったまま終始顔を背けているアスランを、俺はじっと見つめていた。
先程隊長が、アスランにネビュラ勲章が与えられたとおっしゃっていた。
それだけの事を、こいつはしたのだと言う。
たった一人の人間を、その手にかけただけの事でだ。
「…アスラン。貴様、宇宙に上がるらしいな。」
きっと、こいつもそう思っているのだろう。
他の奴らならば誇らしげに飾っているはずのその勲章も、こいつの前ではケースに入ったただのバッチか何かだ。
机の上に無造作に置かれたそれを見て、眉を寄せたのは数分前の話だった。
「……あぁ。」
無感情な声が肯定を示すが、アスランが俺の方を見る様子は無い。
二人きりになったザラ隊。
だが、そのザラ隊長も宇宙に上がる。
ラスティが死に、ニコルが死に、そしてディアッカはMIA。
俺はクルーゼ隊長の傘下に戻る事になっていたが、この戦いの代価は、俺達にはあまりにも重過ぎる。
互いの存在も、いつかは消えるかも知れないこの戦火の中で、それでも俺は生き残ってやると決意していた。
彼奴らが、死にたくて死んで行った訳では無いと、勿論わかってはいるが。
もう、仲間を失うのは絶対に嫌だと、俺達は互いに思っていた。
だから、俺は決して死ねないのだ。
「…十分に休め。」
「っ…」
言い残して立ち上がった俺に、不意に翡翠が向けられる。
何か言いたいのか薄い唇が二度戦慄いたが、結局アスランは何も言わずに顔を背けてしまった。
珍しい事もあるものだと、思いながらもう一度腰を落ち着かせる。
再び沈黙の時間が始まり、それは俺の苛立ちを募らせるものだったが、目の前の状況を見ては思い直して我慢した。
腕と足を組んで、ただ何も言わずにそこに座っている俺。
相変わらず顔を背けたまま、ただ何も言わずにそこに寝ているアスラン。
変な構図ではあるが、互いに互い以外の知り合いなどこの基地には隊長ぐらいなものであったから、見知らぬ者とこの空間を過ごすよりはマシなはずだった。
だが、不意に、白い指先が固くシーツを握り締めるのを見て、おもむろにそちらへ手を伸ばす。
そっと手を重ねて握り込むと、目の前の肩が小さく跳ねた。
そして聞こえてくる、微かな鳴咽。
泣いているのだと理解して、まさかアスランがここまで弱音を見せるとは思っておらず、驚いた。
人は一人では生きていけないと、何処かで聞いた事はある。
それに、俺は絶対に一人では生きていけない自信があった。
母上という存在や、加えて仲間というものがあったから、今まで俺はやって来られたのだ。
ならば、こいつは、一体何を支えにして来たというのか。
やはり、俺は死ねない。
そう思うのは、ただの自意識過剰かもしれないが。
「………。」
無言のまま、アスランの手を握り締める手に力を込める。
こいつが、ザフトに疑問を持っている事は明らかで、それはひしひしと伝わって来ていたが、まさか離反なんて事はあるまいと、その時はそう思っていた。
アスランが身を翻したその日から、俺は独りきりのザラ隊になる。
END
カーペンタリアです。
イザークさんの告白シーンの前に、こんなやり取りがあればいいなぁなんて思ってしまいまして(笑)
「俺が部下にしてやる!」
↑いい台詞です‥萌
しかし、纏まりの無い文章で申し訳ないです(汗)
08.09.16
↑
年に幾度かしか会えない俺達の、いつも繰り返す日常
数カ月ぶりに顔を合わせて、夕食を共にした。
らしくもなく気分が高揚しているのは、やはり俺がこいつに会える事を嬉しく思っているからだ。
どきどきと音を立てる心臓は、青い瞳と目が合う度にその動悸を一瞬煩くする。
終始高鳴るこの胸が、落ち着くのはきっと明日になってからだろう。
一日が終わりに近付こうとしている今になっても尚、心臓は煩い音を立てて止まらないのだから。
「…イザーク。」
「……何だ。」
鼓動が早くなっているのはこいつも同じで、促されるままに仕方なく腕へ頭を乗せているものの、その体温は高く、血の巡りが早くなっているのがわかる。
もう片方の、背中に回された腕には力が込められていて、俺まで照れを感じてしまった。
「…苦しいんだが。」
小さく笑って呟けば、息を飲んだイザークがその腕の力を緩めてくれる。
笑うな、と少し苛立ったように咎められ、それでも笑っていればすい、と顔を覗き込まれた。
「何だ、貴様の顔も赤いではないか。」
ふんっと鼻を鳴らして言う彼に、そのまま唇を塞がれる。
ただ押し付けられたそれは柔らかい感触を俺に伝えるのみだったが、小さく開かれたそれに食まれれば、温かく擽ったい何かが胸に流れ込んで来た。
互いの額を合わせて、瞳を覗き合う。
ふっ、と、二人して吹き出してくすくすと笑い合うと、何と無く緊張も解けたような気がした。
柔らかく、優しくて、温かく、有り触れた‥けれど、たまにしか味わえ無い、この溶け合う感覚が、俺は好きだ。
End
ここのところシリアスばかりだったので甘々を。
08.09.19
↑
年に幾度かしか会えない俺達の、いつも繰り返す日常 Adult ver.
数カ月ぶりに顔を合わせて、夕食を共にした。
らしくもなく気分が高揚しているのは、やはり俺がこいつに会える事を嬉しく思っているからだ。
どきどきと音を立てる心臓は、青い瞳と目が合う度にその動悸を一瞬煩くする。
終始高鳴るこの胸が、落ち着くのはきっと明日になってからだろう。
一日が終わりに近付こうとしている今になっても尚、心臓は煩い音を立てて止まらないのだから。
「ん、んッ、ぁ…」
身体の奥に埋め込まれたものが、熱く熱を放ちながらずりずりと内壁を擦っていく。
鼓動が早くなっているのはこいつも同じで、首に回した腕で強く引き寄せると、乱れた呼吸が頬に触れた。
抱え上げられた足を腰に巻き付けて、与えられる律動を更に感じられるようにする。
「ぅあ、ぁ…ッ‥んっ」
目の前で揺れる首筋に甘く噛み付いた俺を、熱を孕んだ声が咎めた。
だが、その時の声ですら胸が高鳴るを助長させて、何もかも乱していく。
薄らと残った歯形に夢中で唇を這わせ、はむはむと挟めば、そこは唾液に塗れて艶を帯びた。
く、と呻く声に、また侵される。
このまま心臓が破裂してしまいそうな、そんな高揚感を味わえるのはこんな時だけで。
明日になればもう、二人が溶け合ってしまいそうな、そんな感覚に陥るのだろう。
End
Adult ver.でした。
どっちにしようか迷ってたんですが、結局両方書いちゃいましたね(笑)
08.09.23
↑
もうすっかり眠気に意識を吸い寄せられ、寝息としか呼べないものを、弛緩して薄く開かれた唇から吐き出している様子を、じっと頭の上から見つめる。
明かりを落としているせいで真っ黒く見える髪の毛に鼻先を埋めて、俺も眠ってしまおうと目を閉じた。
だが不意に、
「ん‥…」
と、小さく喉が鳴らされる音と共に、ごそごそと身じろぎ擦り寄って来る感覚。
起きたか、と思い目を開けば、同時に下から聞こえてくる眠そうな声。
掠れている上に、呂律が回らない舌のせいで聞き取りにくい言葉だったが、とても恥ずかしいことを言っているのは伝わって来た。
「…イザ‥ク…俺、には‥お前‥だけだから…な…」
突然の告白に色気も何もあったものではなく、突拍子の無さに返す言葉も上手く浮かばない。
「いざぁ、く…?」
「…あぁ。」
だが、返事が無かったことは理解出来ているのか、問い掛けるように名前を呼ばれれば、一応の相槌を打つしかなかった。
「…俺が、全てを…出せるのは‥…お前…だけ…」
「…あぁ。」
「嬉しく…ないのか‥?」
「…嬉しいぞ。」
「…そうか…」
顔は見えないが、へらりと笑ったような気配がした。
抱き締める腕にきゅう、と力を込めて、片手の指を髪の中に埋める。
頭蓋骨の硬さを指先に感じながら、再び漏れ始めた寝息を聞いて目を閉じた。
たまにしか吐き出されない本音を言わせてしまう時は、大概俺が、何かしら不安にさせてしまっている時だ。
こうして稀に紡がれる本音が無ければ、俺も不安で成らない、のだが。
いつか訪れる終わりを、恐ろしいとは思わないか
End
アスランさんは、イザークさんの心の奥底での不安に実は気付いてます。
何だか伝わりにくい話になってしまいました(汗)
今は長いタイトルにしたい週間みたいでして、あと、その位置や終わり方も色々遊びたい時期みたいです(笑)
08.09.27
↑
赤で青を祝う
目の前に突き付けられた深い深い赤の色。視界いっぱいに広がるそれのあまりの近さに、思わず身をのけ反らせた。昔纏っていた軍服を彷彿とさせるその色の向こうには、とても満足そうなイザークの顔がある。
「イザーク…」
「誕生日プレゼントだ、アスラン。おめでとう。」
扉を開けた途端目の前が真っ赤だったのだから、驚くのは当たり前なのだろうが、この笑みを見ていると、驚いてしまったことに自分で腹が立ってくる。だが、嬉しさはそれを上回っていて、危ないだろうと怒ることも出来なかった。
「…ありがとう。」
自然と漏れてしまう笑みを向けて、それを受け取ろうと手を伸ばす。
しかし、それを持っていたはずのイザークの手が不意に俺の手首を掴み、そのまま強く引き寄せられて、もう片方の腕の中に捕らえられた。支えを失ったことで重力に従い、床にぶつかってばさりと音を立てる赤。きつく抱き締められているせいで見ることは出来ないが、きっとその姿は少し散ってしまったのだろう。開けられたままの扉から吹き込む冷たい秋の風が、さりさりと音を立てているのがその証拠だ。
「ば、か…イザーク、花が…」
「喧しい。貴様を欲しいと思う想いを、我慢することなど不可能だ。」
耳の近くで呟かれた言葉に思わず目を見張って、数瞬の後には吹き出してしまった。笑い出した俺に、彼はふんと鼻を鳴らして腕の力を強めてくる。自然と彼の背中に腕を回し返して、その首元に顔を埋めた。
「…お前の、その想いだけで十分だよ…」
「当たり前だ。」
呆れて告げた言葉だったというのに、力一杯返された肯定にまた笑ってしまう。
「イザーク。」
「何だ。」
「俺も、お前が欲しくてたまらないよ。」
少し身を離して、唇を触れ合わせる。それは、十月の二十九日の、午前一時を少し過ぎた頃の事だった。
End
アスランさんお誕生日おめでとうございます!
小ネタで大変申し訳ないのですが、愛はあるのです…!!愛は…っ
08.10.29
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